若宮ノ東遺跡
若宮ノ東遺跡は南国市篠原(しのはら)に所在し、弥生時代から江戸時代にかけての複合遺跡です。都市計画道路高知南国線建設に伴い、平成28年に初めて本格的な発掘調査を行いました。調査では弥生時代終末期から古墳時代初頭にかけての竪穴建物跡が25軒以上も確認され、円形が4軒、方形が20軒、多角形が1軒など様々な形態のものが確認されています。遺構密度が高く、今後調査が進めばさらにその数は増えるものと考えられ、大規模な集落であったとみられます。また、竪穴建物跡からは遺物がまとまって出土しており、多量の弥生土器のほか、石庖丁や鉄鏃(てつぞく)も出土しています。
古墳時代後期ではL字状を呈する溝跡が確認されています。この溝跡は幅約2mを測る大規模なものであり、集落や施設の区画である可能性が考えられます。また、この溝跡に沿うように一辺1.2m、深さ1.1m、柱痕径30㎝を測る大型の柱穴が7基確認されており、全長18mを測る県内最大級の建造物であり、集落の象徴的な建物が存在したものと思われます。また、この建物跡の西約60mの地点では梁間(はりま)3間、桁行(けたゆき)4間の大型総柱建物跡も確認されています。これらの大型建物跡の柱穴からは弥生土器片のみしか出土しておらず明確な時期については不明ですが、県内で確認されている大型建物跡はいずれも古代の官衙(かんが)関連の遺跡で確認されており、今回の調査で確認された建物跡が同時期のものとすれば官衙関連の建物跡である可能性が高いと思われます。これらの大型建物跡の時期や性格については、今後の資料整理や隣接地の調査が進み解明されることが期待されます。