伏原遺跡
伏原遺跡は香美市土佐山田町楠目(くずめ)に位置し、周辺には弥生時代後期後半から古墳時代にかけての遺跡が多くみられる地域です。周辺では発掘調査も多く行われており、弥生時代末の遺跡として、ひびのき遺跡やひびのきサウジ遺跡,古墳時代の伏原大塚古墳は高知県でも著名な遺跡です。
伏原遺跡はこの中でも広範囲を占める遺跡で、平成18・19年度に都市計画道路建設により一部を発掘調査しています。これらの調査では、縄文時代から近世までの遺構や遺物を確認しています。弥生時代末から古墳時代初頭にかけての円形や多角形、方形の竪穴建物跡(たてあなたてものあと)約35軒や土器棺墓(どきかんぼ)跡など多くの遺構を確認しており、伏原遺跡は当時この地域の中心集落であったと考えられます。
古墳時代後期の竪穴建物跡は5軒確認しており、中にはカマドの付いたものもみられました。この時期、近接する伏原大塚古墳はこの地域の首長の墓と考えられており、伏原遺跡は古墳の築造に関わった集落と考えられます。
平成28年度には山田バイパス建設に伴い調査を行いました。調査では弥生時代終末期~古墳時代初頭にかけての方形の竪穴建物跡3軒と多角形の竪穴建物跡1軒、壺棺墓(つぼかんぼ)1基を確認しました。この調査地点は伏原遺跡の西端部と考えられていましたが、竪穴建物跡が確認されたことから集落が更に西へ広がっていることがわかりました。また、古墳時代後期の竪穴建物跡は3軒が確認されました。この内1軒からはカマド跡が検出されており、カマド跡に隣接する地点から須恵器杯(すえきつき)2点、蓋1点、壺2点がまとまって出土しています。この竪穴建物跡は小型で、柱穴を持たない事など他の竪穴建物跡とは異なっており、祭祀(さいし)関連施設の可能性もあります。今後、遺物や遺構を詳細に精査した上で検討していく予定です。